2024年度 里山体験プログラム修了証書授与式開催
3月15日、土曜談話会として上高津貝塚資料館をお借りして第3期生修了式を開催いたしました。
今年度は、過年度生も含め6名が修了されました。
森本理事長から修了証書を授与され、それぞれから体験報告をして頂き会員との交流を深めました。
参加者は修了生も含め22名と子ども4名もの参加を頂き、修了生へ感謝を込めて門出をお祝いすることができました。
2部では、昨年里山体験プログラムを修了された筑波大学大学院2年の本間慎太朗様から研究テーマ「土の一生」と題して、土壌生物の働きと土壌の形成についての研究報告がありました。
最後は美しい里山の四季の風景とプログラム生の一年の活躍をDVDで振り返り別れを惜しみました。
修了生は、里地里山保全や田んぼ塾、こども田んぼの学校、子ども探偵団、調査活動、歴史など3時間を1単位として修了単位20単位以上の課題に取り組まれました。
今年は遠く大阪、東京など遠方からの参加者が2名おられましたが熱心に活動に参加して頂きNPOの運営や里山の生物の多様性について学んで頂きました。
長千佳様(29単位)、刈込聡様(37単位)、OY様(29単位)、横田ちえみ様(26単位)、並木大斗様(27単位)、舩橋美月様 (22単位)、合計138単位(必修73 選択65)と、6名で138日、里山で活動して頂きました。
高齢化する当会に沢山の元気をいただきました。
沢山の学びと活動をありがとうございました。
里山体験プログラム担当 田上
里山体験で学んだことレポート
筑波大学 生物資源科学学位プログラム 1年 M.Fさん
里山体験プログラムに参加することで、私はこれまでの学びと実践を通じた貴重な経験を得るとともに、保全活動の現実や課題に直面し、その解決に向けた取り組みの重要性を深く実感しました。学生としてこれから社会人となる中で、現場での体験が自身のキャリア形成に与える影響は計り知れず、今後の職務選択にも大きく関わると感じています。
まず、保全活動において最も感じたことは、環境保全は一個人の努力だけでは成し得ないという現実です。広大な里山を維持し管理するには、現場で実際に活動している多くの人々の協力と専門知識が不可欠です。大学での研究やサークル活動を通して鳥類や生態系に関心を持っていた私にとって、実際に現場で保全活動に従事することで、机上の理論では得られない具体的な知見を得ることができました。また、参加者同士や地域の住民、研究者との意見交換を通じて、現場で生じる課題を共有し、改善策を考えていくことの大切さを学びました。
現場の体験からは、いくつかの問題点が明らかになりました。一つは、保全活動に従事する方々の高齢化です。長年にわたる経験と努力で里山を守ってこられた先輩方が、今後の活動継続において重要な柱となっている一方で、若い世代の保全活動への参加が必要とする仕事量に対して十分ではなく、活動の持続性に不安を感じさせる現実がありました。また、保全活動の多くがボランティアに依存している現状は、活動コストの負担が特定の個人や小規模な団体に集中してしまうという問題も孕んでいると感じています。これらの問題点は、環境保全の根幹にかかわる部分であり、今後の持続可能な仕組みづくりが急務であると痛感しました。
これらの課題に対して、私はいくつかの改善策を提案したいと考えています。まず、現場での保全活動をより持続可能なものとするためには、参加の敷居を低くする取り組みが必要です。多くの人々に自然環境を身近に感じてもらえるよう、プログラムの内容を工夫し、参加者が主体的に意見を交換できる場を設けることが重要だと考えます
また、保全活動を単なる「守る活動」として捉えるのではなく、地域経済の活性化や都市部の住民にリフレッシュの機会を提供するなど、新たな価値を生み出す試みとして発展させることが考えられます。たとえば、地元の特産品を活用した商品開発や、自然環境を生かした観光プログラムの導入は、保全活動への参加意欲を高めるだけでなく、地域全体の持続的な発展にも寄与することが期待できます。
この1年間の経験を通じ、私は環境保全の現場における実践的な知識と、そこで生じる課題を解決するための具体的な改善策を学びました。これらの学びは、私が将来保全に関わる職業に就く上で大きな糧となると同時に、社会人として直面する現場の課題に対して柔軟かつ主体的に取り組む姿勢を育んでくれました。今後は、得た知識と経験を活かし、現場の声を反映させた持続可能な保全活動の実現に向けて、一層努力していく所存です。
里山体験プログラムで得た経験は、環境保全の重要性とその現場での具体的な課題、そして改善の方向性について深く考える契機となりました。これからの社会人生活においても、現場での経験を礎に、責任ある行動と創造的な取り組みを続けていきたいと思います。